陽射しが春めいてきました。 今日ご紹介するのは広東の家庭料理です。
中国料理で最もポピュラーな食材といえば豚肉です。 ある広東出身の方に“懐かしい味”の話を聞いたことがありますが、子供の頃、熱々ご飯にラードをのせて砂糖をかけてよく食べた、これが忘れられない・・・とのことでした。 私達の卵かけご飯の感覚で食べられていたようですが、かつてはどれ程豚肉とラードが一般家庭にもあるものだったかが窺えます。重要なタンパク源、脂肪源だったのでしょう。
昔風のデザートには、もち米に砂糖とラードを混ぜ、あんこや干し果実をのせるものがありますが、日本人にとってのぼた餅のようなものと思うと納得。
今の中国でも都会を外れるとリヤカーのような車に豚肉をつるして(もちろん冷蔵ではありません。)売り歩く姿をよく見かけます。 客はボウルを持って買いに出て、その場でかたまり肉を必要な分だけ切ってもらいます。
それを包丁でたたいて肉団子などにも使うのですが、そんなお料理の代表が今日ご紹介する“清蒸”です。 包丁でたたいて粒々感のある挽肉状にした肉に、うまみのするめとしいたけ、歯ごたえのくわいなどを加えてよく練り合わせ、皿に盛り込んで塩漬けの魚をちょんとのせてセイロで蒸すのですが、蒸し汁が澄んでジュワーッと出ていれば出来上がり。
〆のご飯にこの汁をかけるとこれがまた美味しい! 私のちょっと懐かしくて美味しい、忘れられない味の一つです。
※元々中国の広東のお料理ですので日本では色々な呼ばれ方をしているようです。今回もなじみのある呼び方で読んでいます。北京語のピン音はqing1 zheng1となるようです。 |